数学が特定の自然現象を表現し、予測さえする有力なツールであると誰もが信じているのは、この現代の世界において不思議ではありません。単純な料理のレシピから宇宙ロケットの発射に至るまで、数学と数字が用いられ、私たちの目標達成に貢献してきました。はるか古代、物質世界を表す数学の方程式が発明(もしくは、発見と言うべきでしょうか)されました。数学と数字は宇宙のあらゆる側面に含まれているように思われます。数学と数字はあらゆる文明と人類に共有され、普遍的なものです。
数字とは、物質世界の単なる抽象的表現ではなく、象徴的な意味も持っているのです。そしてその意味は、特定の人々や文化のグループ内だけでなく、人類全体に共有されているのです。例えば、数字の1は統一や神を表しています。2は自然における二元性、つまり陰陽や男性性・女性性を表します。3は三位一体、つまり父と子と精霊あるいはオシリス・イシス・ホルスを通じた宗教概念を象徴します。これらは、サイクルが終わって再び1に戻ることを表す10まで続きます。
幾何学は、広く知られており表現が容易なため、これらの象徴を表すのによく用いられます。自然そのものが、構造を調和させるためにほとんど完璧な幾何学的形状を用いています。例えば、六角形はハチの巣作りに用いられるほか、雪の結晶は六角形です。花びら、あるいは樹の種子や実は5層構造です。立方体・六角形・六面体は、鉱物や金属の原子配列に見られます。自然の美しい幾何学的図形は枚挙にいとまがありません。それらを探してみましょう。
鉱物、植物、動物の増加パターンは、幾何学的配列の順序に従っています。これらの順序は、さらに複雑な数字を生み出します。よく知られた例はフィボナッチ数列と言われるもので、数列内の隣り合う数の和がその次の数になります。つまりこうです。
0,1,1,2,3,5,8,13,21,34,55,89,144…
この配列から生まれたのが、黄金比と呼ばれるもので、この配列中の任意の数をひとつ前の数で割るだけです。割り算を進めるほど黄金比 1.61803… に近づきます。もう一つの重要な無理数である円周率(π)と同様、黄金比に果てはなく、近づくことができるだけです。これは自然の定めであり、完璧に近づこうとしても決して達成はできないのです。
黄金比は、自然に隠された最も一般的な数字であり、調和のとれた比率と見なされるものを明らかにしてくれます。鉱物から植物、動物、もちろん人間まで、黄金比は脚や体のパーツの長さを比較した際に見られます。どの形状やサイズも同じ法則に従っています。この数は大昔から見出されており、エジプトの大ピラミッドからヨーロッパの大聖堂に至るまで、最も神聖な殿堂の建築に用いられました。そして黄金比が自然界で普遍的であるため、意識的にせよ無意識にせよ、私たちは一枚の紙から皆さんの財布のクレジットカードまで、最もありふれた物を作る時にこれを用いてきたのです。
数字/象徴的な意味/表すもの
0/絶対的なもの/神、宇宙の卵
1/統一/父なる神、太陽
2/自然の二面性/両極性、善悪
3/三位一体/正三角形、三部ロゴス
4/出現/四大元素、正方形
5/自然の上で行動する人間/五芒星、ダ・ヴィンチの人体図
6/調和とバランス/六芒星、蜂の巣、雪の結晶
7/完璧な秩序/音楽、惑星、罪と美徳……
8/宇宙の秩序/八角形(2つの正方形の交差)
9/三位一体との関わり/ミューズ、9ヶ月の妊娠期間
10/調和への回帰/ピタゴラス派における完璧
元記事URL↓
https://library.acropolis.org/nature-symbols-and-numbers/